広場から見上げたホテル

8月のこと。いつもじゃらんnet やゆこゆこネットなど、宿泊予約サイトを使ってホテル予約を入れていた私。母から、「予約が取れなくて、姉ちゃん(私にとっては叔母)が行きたくても行けないでいる宿がある」と聞きました。

聞けば、お隣茨城県の国民宿舎「鵜の岬(うのみさき)」と言うところで私は初耳。しかも今どきネット予約ではなく、電話予約しか受けず、年末年始に至っては往復はがきによる抽選だと言います。観光として行くには近すぎて改めて巡る場所は思い当たらないものの、予約が取れないと聞いて俄然泊まってみたくなりました。

そもそも国民宿舎ってなじみがないけど、どんなところ?一応調べてみました。

国民宿舎とは:公営の国民宿舎は、国立公園・国定公園・都道府県立自然公園・国民保養温泉地などの、自然環境に優れた休養地に建つ公共の宿でございます。どなたでも余暇を楽しみながら、健康の増進をはかるため、気軽にご利用いただける宿舎として作られました。…現在、北海道から九州まで全国79ヶ所の、自然豊かな土地にございます。

公営国民宿舎のホームページより(https://kokumin-shukusha.or.jp)

こちらのホームページをみると、国民宿舎であれば必ずしも電話予約しなければいけないものではなく、ネット予約ができるところも多々あるようです。

ネット予約不可。電話で空き部屋確認

3ヶ月前から電話予約可とのことですが、たまたま母が10月で空いている日を聞いたところ、1室空きのある日があるとのことで、すかさず予約。3人で取って、叔母に声をかけてみたのですが、体調がすぐれず行けないとの返事。残念ですが、母と2人で行くことにしました。

予約から2ヶ月、鵜の岬へ出発!

伊師浜海水浴場看板

大洗には昔から何回も訪れていますが、鵜の岬海岸というのも初耳。その海岸にほど近い伊師浜海水浴場にて、海を眺めながら遅い昼食を取りました。この日は雨こそ降りませんでしたが、台風19号が接近してきており、海も結構荒れていましたね。

伊師浜海水浴場
伊師浜海水浴場
伊師浜海水浴場

海岸の右手にそびえ立った大きな建物が、目的地の鵜の岬です。海岸からホテルへ向かう階段があるので、こちらからホテルへ歩いてみました。

海からホテルへ続く階段
海岸へ続く階段
ホテル全景

聞きしに勝る立派なホテルですね!

ロビー

ロビーに到着しましたが、まだ14時。チェックインには1時間も早いタイミングですが、フロントの方が受付はしてくれるとのこと。ところが、思いがけず、部屋の掃除が済んでいるのでもう部屋に入れます、と鍵を受け取ることができました!あれ、なんか伊藤園ホテルズを彷彿とさせられましたが、嬉しい対応ですね(^^) 荷物を置いて、のんびりホテル内を散策するチャンス到来です。

鵜の岬階層案内

全館案内を載せておきます。ロビーは2階になるんですね。

和室に宿泊。内装は?

エレベーターホール

今回は4階に泊まりました。エレベーターホール付近や廊下にも、座り心地の良さそうなソファが置いてあります。

客室廊下

和室は10畳ほど、応接セットのある板の間は6畳ほどでしょうか。入り口を入ってすぐ右手にトイレ、左手奥にお風呂と洗面所がついています。

客室和室
客室
客室テレビ
客室の絵

こぢんまりとした部屋ですが、2間あるもう一部屋は板張りで椅子や冷蔵庫、食器棚などが置いてありました。全体的にピカピカできれい!

板の間
板の間のランプ
板の間

ただ、元々は古い部屋をリフォームしたものなのか、洗面所や廊下を歩くと激しく床がきしみます。夜中トイレに行きたくなった時、母を起こさずに行けるかしら(^^;

客室トイレ

こちらはトイレなのですが、中に使いやすい手洗い場がついています。

客室トイレ
客室洗面所
客室洗面所

洗面所には浄水器もしつらえてあるので、安心して蛇口から水が飲めますね。

夕食前にホテル内を散策

お風呂は15時から。

なので、部屋で小一時間ほどのんびりして入浴できる時間になってから、大浴場のある最上階の8階へ。

ランドリーもこの階にあります。

エレベーターを降りると、自動販売機と開放的なリラクゼーションルーム。

こちらのリラクゼーションは無料体験が可能で、女性の多くが利用されてました。

そして、さすが最上階、リラクゼーションコーナーに入って大きな窓の向こうを眺めれば大海原と水平線が望めます!天気が良ければ最高だったのにな〜。

8階から見た風景

手前にある丸い建物は、朝食のバイキング会場です。

入浴後、まだ少し余裕があったのでフロントのある2階へ。見事な生花が生けてありますね!

ロビー階生花
みやげどころ

お土産コーナーの近くには、寄贈された立派な獅子舞のお面が飾ってある他、鵜を捕まえる時の道具等の展示もされていました。

ロビーにある寄贈品
ウミウモニュメント
ウミウ捕獲資料
ウミウ捕獲資料

ホテルの入り口をフロントの方へ曲がらずにまっすぐ突き進むと喫茶「岬」というお店があります。

そのすぐ横に「海への近道」という看板が立っていて、自動ドアを抜けて外へ出ることができます。

喫茶岬と海岸への近道看板

外へ出て右手に出ると、海を少し引いて見られるちょっとした展望デッキのようになっています。

さらに下へ降りると芝生と三角のモニュメントのある広場へ降りることができます。

ホテルと朝食会場を繋ぐ通路
喫茶室近くの外階段踊り場から見た海
朝食バイキング会場(遠目)
広場から見上げたホテル
ホテル内から見える海

元々台風が接近中で、あまり天気のよくなかった当日。

夕日が見られず残念ですが、おかげでライトアップが早まりました。

10月初旬、まだ4時半くらいだったのですが、すでに黄昏時です。

広場を抜けてホテル入り口の方へ歩いていく途中、ウミウ捕獲場の公開期間が延長されているとの看板を見ました。

通常は9月いっぱいまでのところ、10月14日の祭日まで延長が決まったとのこと。

朝9:30〜14時までやっているとのことなので、明日チェックアウトした後にでも立ち寄ってみることにしましょう。

ウミウ捕獲場公開中の看板
ウミウ捕獲場公開のお知らせ

朝食バイキング会場の通路とは別に、ホテルの2階から渡り廊下が伸びている一角があります。

この渡り廊下には明かりが灯っていないのに、その離れの建物には煌々と明かりがついています。

何の建物か近寄ってみると、どうやら立ち寄り湯らしき表示が。ここはナトリウム硫酸塩温泉のようです。

温泉効能

期待値マックスの夕食メニュー♪

さて、いい時間になってきました。夕食は18:00から。

会場は1階、7つの宴会場のうち「漣(さざなみ)」の間です。

1階の宴会場入り口の外は全面ソファセットが置いてあって、ゆったりと家族や友人と語り合いながら夕食を待つことができますね。

生花
宴会場待合

宴会場へ通じる廊下にも立派な生け花。

生花

さすがに7つも会場がありますから、廊下もかなり先まで続いていますね。

宴会場廊下

会場入り口の右横には電子看板があり、部屋番号と代表の人の名前が書かれています。

私たちの名前もちゃんと載っていました。

団体さんの名前はよく表示されていますが、私たちのような個人旅行の人の名前も載せるのは珍しいですね。

入り口の「歓迎」の看板のところにも、同じように個人の名前で「○○様」ともれなく表記されていて、ちょっと嬉しい気持ちになりました。

そして、スリッパ置き場ですが、ちゃんと部屋番号ごとに置く場所が定まっていました。

衛生面の配慮がありがたいですね。

宴会場スリッパ置き場

スリッパを脱いで上がった奥にちょっとしたベンチと洋服がけが置いてあり、手前の襖を開けて中に入ると、会場はすでに大盛り上がり!

青畳に黒いテーブルと椅子が置かれていて、グループごとに障子状の小さな仕切りが作られています。

調味料や飲み放題等の案内、仕切りを挟んですぐ両隣にズラッと別のグループがいる感じなので、手狭感は否めませんが、そのテーブルいっぱいに、事前に注文していた料理が並んでいました。

宿泊代には一番安い夕食コースの値段が含まれているのですが、そのCコースと、もう1段階グレードアップしたBコースを1つずつチョイスしていました。

Bコース献立
Cコース献立

画像、どうしても縦長になってしまって見にくいのですが(汗)、BコースとCコースの違いは、品数が1つ多い(洋皿)、前菜、煮物蒸し物、台の物の料理がグレードアップしてることですね。

それぞれ半分こして食べよう!と事前に打ち合わせていたのですが、テーブルが料理でいっぱいで、取り分けるスペースは皆無。

半分食べたら場所をチェンジしようと提案したのですが、お互い他のグループの後ろを延々通ってぐるっと回ってこなければならず面倒なので、結局最初に座ったまま、私はいい方のBコースをいただきました。

Bコース全容
肉料理
前菜盛り合わせ
白身魚の照り焼き
刺身盛り合わせ
すき焼き具材

こちらはすき焼きの具材ですね。下が調理したもの。

すき焼き
デザート

2000円の差は大きい。

テーブルに並んだ料理をみると、やはりBコースの方が豪華。

母が不満に思っていないか心配で、何度も「交換しよう」と声をかけたのですが、このままでいい、と言われ続け…罪悪感でいっぱい。

とはいえ、食べ終わった時にはCコースで十分量も質も満足したようで、最終的には「私はこちらでよかった」と笑顔で語っていました。

母の食べたコースはほとんど写真に収められなかったのですが、下がCコースの前菜です。

Cコース前菜

ボリュームは半端なく多いですね。

食事が終わって会場を後にする時、すでに食事が終わって帰ったグループの机をみても、食べきれなくて大量におかずが残ったままの人が大多数でした。

おいしかっただけに残念。

コースに含まれている、後から持ってきてくれたメヒカリの唐揚げなど超絶品だったのですが、1つも箸をつけないまま放置されていて、思わず「もったいない!」と声が出てしまったほどです。

メヒカリの唐揚げ

とにかく、何を食べてもハズレなし!

おいしいのはもちろん、いろんな味覚がちょこちょこと味わえて全く飽きないし、見た目も鮮やか、五感をフルに使って楽しめるお料理でした。

会場は小さな仕切りはあるもののほぼオープンで、先ほど触れたようにいろんなグループが所狭しと盛り上がっていて、決して静かな環境ではありませんが、それもまた味ですね。

ソフトドリンクの飲み放題が別料金で可能でしたが、せっかくなので私と母はそれぞれ地酒の富久心と生ビールの中ジョッキを注文。

ドリンクメニュー
地酒福心

とにかく料理を楽しみたいので、飲み物はそれだけに抑えましたが、それでもお腹パンパンになるまでおいしいもので満たされて、本当に幸せな一時を過ごせました…☆

湯船にいながら水平線が見渡せる大浴場

ようやくお腹が落ち着いてきたところで、再び大浴場へ。

大浴場入り口

こういった夕食満足度が高いお宿は、大概夜のお風呂は空いているのですが、こちらは常に誰かしら人がいる状態でした。

この時も、夕方と同じくらいの混み具合でしたね。

それでも、洗い場自体はたくさんあるので、混んでいても誰かが使い終わるのを待つハメにはなりません。

大浴場スリッパ置き場
温泉効用
大浴場脱衣所

夕方には水平線の素晴らしい景色を湯船からゆったり眺めながらの入浴でしたが、夜も入江がライトアップされているおかげで真っ暗ではなく、海の様子がうかがえて良かったです。

新しくてきれいなのはもちろん、お風呂の照明も暖かい雰囲気で、癒されるいいお風呂でした。

部屋から見た夜の海

ついでに言うと、朝は5時から入浴ができるのですが、こちらも朝一番から満員御礼でした!

すごいみんな早起きだなぁ。まぁ、私も頑張って早起きした口ですけど。

おそらく、みんな日の出を湯船から眺めたくて早く来たんだと思いますが、ちょっと早すぎたようで(事前に日の出時間を調べておけば良かった)、部屋に戻って来たタイミングでちょうど素晴らしい朝焼けとご対面できました!

部屋から見た風景(朝)
昇る朝日

ちょっと雲が出ていたのが残念ですけど、それでも昨日の曇り空とは雲泥の差です。

天気に恵まれると、旅はグッと満足度が上がりますね。

朝日差し込む開放感いっぱいの会場で、とびきりの朝食

朝食は7:00〜9:00、自由席のバイキングです。

時間ぴったりではなく少しずらしたのですが、いや〜、さすが満室なだけあってバイキング会場も人、人、人です。

すでに窓際のいい席は埋まってしまっていましたが、少ししたら窓際で静かに一人で食べていた人が食事が終わって行ってしまったので、そっと移動して景色を見ながら、朝もおいしい食事をたらふく詰め込んで来ました。

朝食バイキング会場から見たホテル
朝食バイキング会場
朝食バイキング会場

天井が高くて、丸くグルッと360度窓で囲まれた開放的な空間の真ん中に料理が並べられ、洋食、中華、和食、サラダからデザート、フルーツまで、いろんな料理を好きなだけ食べられます。

しかもどれもおいしいこと!

私はホテルに泊まったら朝はパン、と決めているので迷いませんでしたが、やはりハズレなし!

クロワッサンは本当にサクサクパリッパリで、いくらでも行けてしまう感じ。結局3個ほどいただいたような…。

デザートは、杏仁豆腐が美味しくておかわりしてしまいました。

朝食バイキング

日帰り温泉施設をちょっと紹介

小一時間ほど朝食を楽しみ、9時頃チェックアウト。

荷物を車に詰め込み、昨日できなかった庭園の散歩を続けます。

ホテル入り口を出て裏手に続く道を上がっていくと、日帰り温泉施設がありました。

鵜の岬日帰り温泉

昨日の夕方散策した時にあったお風呂ですね。

煌々と暗がりに浮かび上がっていた時は近い印象でしたが、実際歩いてみると結構ホテルから離れている気がしました。

日帰り温泉施設のすぐ横にバス停があったので、電車で来る人にはいいと思ったのですが、時刻表をよく見ると平日3本、土曜日と祝日は2本、日曜に至っては運休。

やはり車を利用した方が良さそうですね…。

鵜の岬温泉バス停

入浴料も曜日で変わって来るようですね。

平日830円のところ土日祝日は1040円になります。

高齢者割引
日帰り温泉入浴料

ウミウの捕獲場見学へ

温泉施設のすぐ横の階段をずっと下っていくと、蓮池のある庭園に出ます。

鵜の岬周辺案内
鵜の岬庭園
池の蓮
鵜の岬庭園
鵜のモニュメント

とはいえウミウの捕獲場を見る計画もあるので、全部を探索するのは難しそう。

池の周りを回ってホテル入り口付近まで戻って来たところ、ウミウのモニュメントの下に堂々と「国民宿舎 鵜の岬 公営国民宿舎宿泊利用率25年連続日本一達成記念」と書いてありました。

スゴい、そんなに長い間日本一なんだ!

鵜のモニュメント
鵜の岬宿泊率25年連続日本一

しかし、捕獲場がどこだかよく分からず、フロント付近にいたホテルの男性に聞いたところ、親切に捕獲場まで連れて行っていただき、さらに鵜の捕獲方法など、展示された道具を前に詳しく教えてくれました。

ウミウ捕獲場
鵜かご
おとりの鵜をつないでおく石

海にせり出した崖に通じるトンネルの先で、おとりの鵜を何匹かつないで置くと、遠くからやってきた鵜が仲間がいる!と飛んでくるので、特に大きくて若そうな鵜を選んで、足をカギ状の棒でひっかけて捕獲するそう。

やはり一石二鳥とは行かず、1匹捕まえると他の鵜は驚いて逃げてしまうので、慎重に捕まえる鵜を吟味して獲るそうです。

でも実際、いい鵜を捕まえられる確率は3割くらいだとか。やはり自然相手、そんなにうまくは行かないんですね。

そうして、そこで捕まえた鵜を、全国の鵜飼いを営んでいる先へ出荷しているとのことでした。

岐阜の長良川や京都の宇治川の鵜飼いが有名ですね。

私はまだ鵜飼いを見たことはないけど、一度見てみたくなりました。

前評判で終わらないサービス満点のホテル

さて、前から行きたかったと言うわけではなく、評判のよさだけで行ってみた鵜の岬ですが、スタッフの方もみんな親切で感じがよく、料理も素晴らしく、建物もきれいで文句の付けようのない、大人気なのも納得の、素敵なホテルでした。

近くから見上げたホテル

ウミウの捕獲場を見学した後、ロビーでしばし休んでいたのですが、グループで来ていた地元のリピーターの女性は、観光はしないけど料理をグレードアップして都度楽しんでいると言っていました。

季節や仕入れによって料理が変わるので、何度来ても飽きないそうです。

サービスのよさはもちろんなのですが、宿泊率ナンバーワンは、地元の人たちに深く愛されていることも理由の一つなのかな、と思いました。

ホテル内を散策している時も、地元の人が愛犬を散歩させている姿に朝夕遭遇しましたね。

サラリーマンで平日お勤めの人には予約が難しいホテルであることは確かですが、機会をみてぜひ一度泊まってみてはいかがでしょうか。

ちなみに大人気の年末年始は、往復はがきによる抽選方式になります。

毎年10月1日〜10日までの消印有効(必着ではない)で、抽選結果は11月上旬頃、当たっても外れても当選結果が印刷されてはがきが戻ってくるそう。

来年の運試しに、チャレンジしてみてもいいかも知れませんね。